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サステナビリティとSDGsの違いは?歴史を踏まえて意味をおさらい

サステナビリティ入門 身近なサステナビリティ
目次

環境問題や貧困問題など、世界の課題を解決するにあたって重要とされている「サステナビリティ」や「SDGs」。この2つの言葉を耳にする機会はあっても、意味の違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。 

そこで今回は「サステナビリティ」と「SDGs」の違いや、それぞれの考え方が生まれるまでの歴史を解説します。

「サステナビリティ」と「SDGs」の違い 

ではまず最初に、「サステナビリティ」と「SDGs」の言葉の違いについて見ていきましょう。 

「サステナビリティ」とは

サステナビリティのイメージ画像

サステナビリティ(持続可能性)とは、英語の「sustain(支える、持続させる)」と「-bility(可能性)」を組み合わせた言葉。【環境・社会・経済が持続的に発展する社会の実現を目指す考え方】のことです。

環境問題や貧困などの社会問題が深刻化するなか、人類と地球環境を守るためには短期的な行動ではなく「中長期的な視点」で発展していくことが必要不可欠です。

持続可能な社会の実現に向け、世界各国で「経済活動」の推進だけでなく、その経済活動で生じる「環境」や「社会」への影響も踏まえた行動が求められています。 

「SDGs」とは 

SDGs 17のゴール

SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取ったもので、持続可能な世界を実現するための国際目標のことです。社会、経済、環境の3側面の課題を統合的に解決しながら、持続可能なよりよい未来を築くことを目標としています。 

2030年を達成年限とし、17のゴール(目標)と169のターゲット(手段)から構成されているSDGs。

目標とターゲットはすべての国、人々を対象としており「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを原則としています。

サステナビリティが生まれるまでの歴史

国連人間環境会議(1972年)|環境と開発の両立が課題に 

産業革命以降、大気中の二酸化炭素濃度は上昇を続けており、地球温暖化の問題が顕著になっていました。 環境問題に対する初の国際会議は、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された「国際人間環境会議」でした。

会議には日本を含む114カ国が参加し、先進国と発展途上国の意見の対立が問題となりました。先進国は自然環境問題を優先的に取り扱うべきだと主張するのに対し、途上国は貧困から生じる問題を最優先の課題にするべきだと主張したのです。インドのインディラ=ガンディー首相の「貧困こそが最大の環境汚染である。」という主張は途上国の意見を代表するものです。 

そして両者が少しずつ歩み寄って主要問題分野を絞っていき、最終的には「かけがえのない地球」をスローガンに掲げて「人間環境宣言」と「環境国際行動計画」が採択されました。 

しかし翌1973年に第1次オイルショックが起こり、各国が環境問題の政策に資金を回す余裕がなくなり、環境に対する取り組みはここで停滞してしまうことに。 

ブルントラント委員会(1987年)|「持続可能な開発」という言葉が生まれる 

サステナビリティという言葉の起源だとされているのは、1987年のブルントラント委員会での提唱です。ノルウェーの元首相、グロ・ハーレム・ブルントラント氏が委員長を勤めた「ブルントラント委員会」は、1987年に報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」を国連総会に提出しました。 

この報告書で提唱されたのが「持続可能な開発(Sustainable development)」です。報告書の中では、持続可能な開発とは「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことがないような形で、現代の世代のニーズも満足させるような開発である」と定義されています。 

地球サミット(1992年)|概念が広く普及するように

1992年に開催の地球サミット出典:環境庁「平成5年版 図で見る環境白書」(最終アクセス 2022/12/9) 世界経済の回復の兆しが見えるようになった1992年には、ブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」が開催されました。世界的な規模の会議が開催されたのは、1972年の国連人間環境会議から数えて2回目のことでした。 

地球サミットは、人類共通の課題である自然環境の保全と持続可能な開発を実現するための具体的な方策決定を目的として開催され、「アジェンダ21」が採択されました。 

「アジェンダ21」は、開発と自然環境の保全を両立させるための行動原則です。国際経済と環境、貧困、人口問題などの社会的・経済的側面や環境保護などの幅広い内容が、全40章、約500ページにわたって示されました。 

国連ミレニアム・サミットとリオ+20(2002年、2012年)|MDGsが設定される

リオ+20出典:外務省「リオ+20~持続可能な未来を創るために」(最終アクセス 2022/12/9)

 2001年の国連ミレニアム・サミットでは、国際社会が一体となって取り組むべき目標として「ミレニアム開発目標(MDGs)」が設定されました。MDGsはSDGsの前身になったもので、極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015年までに達成すべき8つの目標が掲げられました。

さらに約10年後の2012年にはブラジルのリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催され、持続可能な開発目標(SDGs)についての具体的な議論がスタートしたのもリオ+20からでした。 

国連サミット(2015年)|SDGsの17の目標が採択

国連サミット2015

SDGs17の目標の採択当日の国連本部ビル出典:外務省「“誰一人取り残さない”世界の実現-「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択」(最終アクセス 2022/12/9)

 MDGsは、達成期限である2015年までに貧困の割合を減少させるなど一定の成果を出しました。しかし未達成の目標もあり、国連が次の枠組みとして設定したのがSDGsだったのです。 

2015年の国連サミットで、193の国の首脳の参加のもと全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中に、「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられました。 

MDGsは途上国の開発問題が中心だったのに対し、SDGsでは先進国も取り組むべき問題が設定されています。また、SDGsは経済・社会・環境・の3つの側面の課題解決を目指しているのが特徴です。2030年までの目標達成に向けて、各方面で取り組みが進んでいます。 

「サステナビリティ」「SDGs」に関連する用語

ESG

「サステナビリティ」や「SDGs」に関連する用語である「CSR」や「ESG」。混同されがちですが、厳密には意味が異なるため、最後はおさえておきたい関連用語を紹介していきます。 

企業が意識する「CSR」とは 

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、企業が果たすべき社会的責任のことです。 

企業は大規模になるにつれ顧客や株主、従業員などステークホルダーが増えるため、社会に及ぼす影響も増大します。CSRは、これらの社会的責任を社会貢献活動で埋め合わせるという企業側の意味合いが強く、サステナビリティとは異なる意味で使われています。 

経営にもかかわる「ESG」とは 

ESGは、Environment(環境)、Social(社会)そして Governance(ガバナンス)の頭文字を取った言葉で、企業はそれぞれ3つの視点で取り組みを行うべきであるという考え方です。 

ESGは、2006年に国連が提唱した「責任投資原則(PRI)」によって注目されるようになりました。投資家は企業を長期的な視点で分析・評価し、ESGを考慮した投資を行うよう求めるものでした。企業はESGに配慮した経営(ESG経営)を行う必要があり、投資家もESG経営を行う企業に投資するという流れが、主流になりつつあります。 



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まとめ

グータッチ

サステナビリティは環境・社会・経済が持続的に発展する社会の実現を目指す考え方のことです。一方、SDGsは持続可能な世界を実現するための国際目標のことを指しています。 

2030年までにSDGsの17の目標を達成するために、世界各国で取り組みが進められており、企業にも経済活動で生じる環境や社会への影響を考慮した行動が求められています。 

サステナビリティハブ編集部
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