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RE100とは?意味・読み方や国内外の加盟企業をわかりやすく解説

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目次

再生可能エネルギーのさらなる拡大が求められている今、「RE100」という国際的なイニシアティブへ加盟する企業が増えてきました。

今回は「RE100」の基礎知識として覚えておきたい内容を紹介するとともに、日本と世界の加盟企業、企業がRE100に加盟するメリットや加盟方法についても解説します。 

RE100とは

再エネ100%での事業運営を目標とする企業の、国際的なイニシアティブ

風力発電の模型を手に会議をするビジネスパーソン

RE100とは、企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す、国際的なイニシアティブのことです。

RE100の「RE」はRenewable Energy(再生可能エネルギー)の頭文字をとって名付けられており、2014年にNGO団体・The Climate Groupによって設立されました。

2023年10月現在、RE100には27カ国から421社が参加しています。影響力の大きい企業が、①事業活動で使う電力を「再生可能エネルギー(以下、再エネ)」に置き換えることにより再エネ市場を拡大させること・②エネルギー移行を加速させるためのシグナルを送り、再エネ推進の輪の拡大を目的としています。

RE100の公式ホームページ(英語)

EP100やEV100との違い

RE100と混同しやすいものに「EP100」や「EV100」がありますが、違いはどこにあるのでしょうか。

EP100とは「Energy Productivity 100%」の略称で、事業活動におけるエネルギー効率の引き上げを目指す企業が参加する国際的イニシアティブのことです。

具体的な取り組みの例としては、エネルギー効率の高い技術の導入や、省エネ効率を50%改善することなどが挙げられます。

一方、EV100は「Electric Vehicles 100%」の略称で、2030年を目処に企業が利用する車両について100%電気自動車化することを目指している国際的イニシアティブのことです。 EP100とEV100のそれぞれが掲げている目標は、再生可能エネルギー推進のためにも大切な取り組みともいえます。


総称意味
RE100Renewable Energy 100%企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す、国際的なイニシアティブ
EP100Energy Productivity 100%事業活動におけるエネルギー効率の引き上げを目指す企業が参加する国際的イニシアティブ
EV100Electric Vehicles 100%2030年を目処に企業が利用する車両について100%電気自動車化することを目指している国際的イニシアティブ

(※以下の記事では、「再生可能エネルギー」の具体的な種類を一覧表にして解説しています。参考にしてください。)


【一覧表】再生可能エネルギーの種類と特徴を解説|サスティナビリティハブ

脱炭素社会の実現に向けて、注目を集める「再生可能エネルギー」。現在、世界中で普及・促進が図られています。 今回はそんな再生可能エネルギーの種類を一覧で紹介。それぞれの特徴も詳しく解説します。

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RE100の加盟企業

RE100にはどのような企業が加盟しているのでしょうか。ここでは、日本と世界のRE100加盟企業を紹介します。 

日本のRE100加盟企業


 2022年12月時点において、RE100への加盟企業は全世界で390社にのぼります。そのうち日本企業は75社が参加しており、国別参加企業数ではアメリカの99社に次ぐ数となっています。

RE100に加盟している国内企業の業種は、 建設業や電気機器、小売業、不動産業が多い傾向にあります。

【事例】企業の再エネ達成目標:リコー・積水ハウス・アスクル

では、RE100に加盟している企業は実際にどのような目標を掲げ、再エネ100%に取り組んでいるのでしょうか。加盟期間の長い3社の例をご紹介します。

日本企業として初めてRE100に参加したリコーは、再エネ100%達成目標年を「2050年」に定め、取り組みを進めています。海外においては、2030年度までに主要な拠点における使用電力を全て再エネ100%にすることを目指すほか、国内拠点の再エネ率向上と質の確保に向けた施策として、新たに独自の再エネ電力総合評価制度を導入し、本社事業所で使用する電力を2021年度から100%再エネ化しています。

(参照:リコー「再生可能エネルギー使用率の2030年度目標を50%に引き上げ~国内再エネ率向上と質の確保に向けて、独自の再エネ電力総合評価制度を導入~」)

積水ハウスは、再エネ100%達成目標年を「2040年」に定め、自社が販売した太陽光パネル搭載住宅のオーナーからFIT買い取り制度終了後の余剰電力を購入し事業用電力として利用する「積水ハウスオーナーでんき」のアプローチで目標達成に取り組んでいます。加えて、LED照明の導入などの節電の取り組みも進捗していることから、「2040年」の目標を10年以上前倒しで達成できる見込みです。

(参照:積水ハウス「事業活動におけるCO2排出量の削減目標を75%に上方修正、達成に向けて業務用車両の100%電動化や当社事業拠点のZEB化を推進」)

アスクルは再エネ100%達成目標年を「2030年」に定め、再エネの導入を着実に進めています。2022年4月には、本社・物流センター・子会社を含めたグループ全体における電力使用量の63%が再生可能エネルギーへ切り替わったことを発表しました。同社は中間目標として、2025年までに本社および物流センターでの再生可能エネルギー利用率を100%にすると宣言しています。

(参照:アスクル「グループ全体の再生可能エネルギー使用率 63%を達成」)

世界のRE100加盟企業

RE100には、情報技術や自動車製造などフォーチュン・グローバル500企業を含む多様な分野から企業が参加しており、その売上合計は6兆6000億米ドルを超えているといわれています。 世界的に有名な加盟企業として、AppleやGoogle、Microsoftやスターバックス、IKEAやネスレなどが名を連ねています。

【3選】RE100に加盟するメリット 

風力発電設備と鉢植えを持って歩く男性_イラスト

RE100に加盟することで、企業にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。主に2つの観点から解説します。 

ESG投資で高い評価を得ることができる 

1つ目のメリットは、ESG投資において投資家からの評価を得られる可能性があることです。 ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(統治)」の頭文字を取ったもの。そしてこれら3つの指標をもとに企業の評価をおこない、投資の判断基準とするのがESG投資です。 

(※ESG投資については以下の記事も参考にしてください。)


ESG投資とは?注目の理由やメリット・デメリットを解説|サステナビリティハブ

持続可能な社会を実現するための取り組みが世界中で進められているなか、地球環境の保全と経済発展を両立する方法として、投資の分野で注目を集めているのが「ESG投資」です。ESG投資とはどのような投資なのか、今なぜ注目されているのか、メリットやデメリットなどを解説します。

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投資先の選定にあたっては、その企業の業績や将来性、成長戦略などさまざまな項目を判断するのが一般的です。しかし近年ではESGに対する注目度の高まりもあって、2016年時点でESG投資の割合は、世界の全投資額のおよそ3割(26.3%)に達しています。企業には、「ESGを考慮した経営」が重要になってくる時代が到来しつつあるかもしれません。 

RE100への加盟=投資家からの高い評価を受ける必須条件ではありませんが、投資家にとってESG投資の選定基準となりやすいことも事実です。そのためRE100への加盟が、潤沢な資金を集めるためのアドバンテージになる可能性があります。 

「化石燃料由来のエネルギー価格上昇へのリスク」を回避できる

2つ目のメリットとしては、「事業に不可欠となるエネルギーの調達において、エネルギー価格上昇のリスクを回避できる点」が挙げられます。

日本の発電は化石燃料を使った火力発電が中心ですが、世界情勢の変化によってその価格は高騰しやすいリスクがあります。さらに世界的なエネルギー需要の高まりによって、2021年以降原油や天然ガスなどの化石燃料の価格が全世界で高騰している現状もあります。

(参照:経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー価格の高騰が物価に与えている影響とは?―「エネルギー白書2022」から③ 」)

そこでRE100へ加盟し、従来の化石燃料由来エネルギーから再生可能エネルギーへのシフトを加速することによって、将来における「化石燃料由来のエネルギー価格上昇へのリスク」を回避できると考えられます。エネルギー源の多様化が、化石燃料由来のエネルギー価格上昇へのリスク回避、エネルギーの安定供給確保に向けたエネルギーセキュリティの強化へと繋がります。

RE100メンバー会(日本企業のグループ)でメンバー同士の協働も

3つ目のメリットは、RE100に加盟するメンバーに対し気候変動について世界の最新動向が提供されることです。また、「脱炭素コンソーシアム」というプラットフォームを活用し、企業間で知見を共有したり、協働によって新しいソリューションを生み出したりすることもできます。

RE100加盟に関する課題

RE100加盟の課題として挙げられるのは、「コスト」の問題です。

自社で発電設備を建設して再生可能エネルギーを生産したり専用線を敷設する場合には、導入コストが発生します。「再生可能エネルギーの生産などに必要な資金を準備できること」が第一条件となるでしょう。しかし電力会社から電気(再生可能エネルギー)を調達すると、その料金はこれまでの電力使用料より割高となってしまいます。

日本の再生可能エネルギーの導入コスト(工事費)や運用コスト(修繕)は、海外と比較すると高いのが現状です。この背景には日本特有の理由が関係しており、日本は国土が狭く再生可能エネルギーの発電に適した土地が限られているほか、台風や地震といった自然災害も多いため、災害対策や修繕に関するコストが発生することもあります。そのため、事業を運営していく中でエネルギーコストをどれくらいかけられるのかについて、十分に検討する必要があるでしょう。 

(※再生可能エネルギーのコストが高い理由に関しては、以下の記事で解説しています。)


再生可能エネルギーのコストはなぜ高い?理由や補助金・コストダウンの技術とは|サスティナビリティハブ

再生可能エネルギーを導入する際に、導入・維持コストがネックとなるケースも少なくありません。 今回は、日本の再生可能エネルギーはコストが高いと言われている理由を詳しく解説。コストを削減するための技術・アイデアや補助金などの制度についても紹介します。

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RE100への加盟手続きの方法

握手するビジネスパーソン_画像

では、企業がこれからRE100へ加盟する場合には、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

基準・要件

RE100へ加盟するためには、英国のThe Climate Groupが個別に判断することが前提です。2017年4月から日本地域パートナーとして日本企業の参加を支援している、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)によると、以下の要件に該当する必要があります。

  1. 消費電力量が年間100GWh以上(日本企業は50GWh以上)であること 
  2. 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2及び1の電力消費)の100%再生エネ化に向け、期限を切った目標を設定し、公表すること
  3. グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること 

※一番上の親会社から見て、支配率50%以上の子会社全てがRE100の参加対象となります。 

(参照:JCLP「よくあるご質問(RE100について)」) 

記入事項

申込書に記入し、企業ロゴのRE100での利用に同意し、責任者がサインをしたものをメールでRE100事務局(info@re100.org)へ提出します。記入項目は下記の通りです。

  • 国、企業名、業種、売上、従業員数、Twitterハンドル
  • 全消費電力量、再エネ消費量、再エネ化率
  • 目標(再エネ100%達成年、中間目標)
  • 会員クラスの選択(Gold/Standard)

会員クラス

会員クラスには、GoldとStandardの2種類があります。

  • Gold:年会費$15,000(イベント登壇機会などの特典あり)
  • Standard:年会費$5,000

中小企業は「再エネ100宣言 RE Action」への参加も

中小企業にとってRE100への参加するハードルは高くなっていますが、大企業でなくとも再生可能エネルギー拡大への取り組みに貢献できます。 

消費電力量が年間50GWh以下の中小企業の場合、「再エネ100宣言 RE Action」への参加が推奨されています。「再エネ100宣言 RE Action」とは、企業や自治体、教育機関、医療機関等の団体が使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネ100%利用を促進する新たな枠組みのことです。 

※公式ホームページ「再エネ100宣言 RE Action

再エネ100宣言 RE Actionに参加するためには、以下の条件が設定されています。 

  • 2050年までに使用電力を再エネ100%にすることを目標設定し、公表すること 
  • 再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施をすること 
  • 消費電力、再エネ達成率などを毎年報告すること  

なお、再エネ100宣言 RE Actionにも参加費用が発生しますが、参加する団体や企業のカテゴリーおよび規模に応じて、年間2万5千円〜20万円ほどに設定されています。RE100と比べると加盟企業の負担は少ないといえそうです。

(参照:再エネ100宣言 RE Action「再エネ100宣言 RE Actionとは 」) 

まとめ

今回は「RE100」の基礎知識として覚えておきたい内容を紹介するとともに、日本と世界の加盟企業、企業がRE100に加盟するメリットや加盟方法についても解説しました。皆さまの参考になれば幸いです。

サステナビリティハブ編集部
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