ACTION取組み

森林再生パートナー活動 ~人と地球の豊かな未来づくりのため〜

事例 企業×サステナビリティ
目次

SDGsの15個目に掲げられている「陸の豊かさも守ろう」の目標達成に向け、世界各国では様々な取り組みが進められています。 国土面積の約2/3を森林が占めている日本においても、森林の減少を食い止めて持続可能な自然を守ることは重要です。そのなかで企業はどのように貢献できるのでしょうか。

今回は、日本の森林の現状や森林分野における企業の取組事例、また実際の活動を紹介します。

日本の森林の割合とCO2吸収量

はじめに、日本の森林の現状を見ていきましょう。

下記のグラフは、2013年から2019年における「森林のCO₂吸収量の推移」を表しています。 世界の森林面積は減少し続けている一方、過去40年間において日本の森林面積に増減はありません。しかし2014年以降、「森林のCO2吸収量」は減少傾向となっています。

国内の森林吸収量等の推移_グラフ出典:林野庁「森林と脱炭素をめぐる情勢について」(最終アクセス 2022/12/16)

グラフ補足:HWPと温室効果ガス量  

HWP(Harvested Wood Products)とは、森林から伐採されて搬出された木材や製品のことです。 日本では木材利用の推進を通して、森林と木材の持つ気候変動の緩和便益を最大化すべきとの観点から、各国の温室効果ガス吸収量または排出量として、搬出後の木材(HWP)における炭素量の変化を計上するべきだと主張されてきました。 

2011年、COP17ではその主張が反映され、第二約束期間において、各国が、住宅等に使用されている国産木材に貯蔵されている炭素量の変化を温室効果ガスの吸収量または排出量として計上することとなりました。 参照:林野庁「第二約束期間(2013~2020年)のルール」

「森林の面積が減っていないのであれば、CO₂吸収量も減少しないのではないか」と考える人も多いかもしれませんが、実はそうではありません。「木のCO₂吸収量(成長量)」にはピークがあり、樹齢が高くなるにつれて木のCO₂吸収量は減少していく特徴があるからです。たとえば国土面積の約4割を占めている人工林を例に挙げると、年間の成長量は「4〜5齢級*」がピークとなります。 

*齢級…林齢を5年単位でくくって森林の年齢を表現したもの。4齢級は林齢16~20年を、5齢級は21~25年を表します。

現在(※2023年1月時点)、日本の人工林の半分以上が主伐期である50年を超え、木材としての利用期を迎えています。しかし森林(特に人工林)の循環として必要な「伐って、使って、植える」という作業が進んでおらず、高齢の樹木がそのまま森林に残っているため、森林のCO₂吸収量が減少傾向にあるのが現状です。

【3選】森林分野における企業の取組事例

森林のCO₂吸収量の減少を食い止め、気候変動を抑えるためにも、各企業は様々な取組をおこなっています。 実際の取組事例における具体的な行動は以下の通りです。

取り組みの概要事例
寄付によるもの

・森林や里山保全・保護団体などへの寄附 

・従業員とのマッチングギフト 

・一般市民との協同による寄附 

自社有地を活用するもの

・工場など自社敷地の緑化・管理 

・企業所有林の保護・保全・有効利用

人(従業員、顧客など)が参加するもの 

・従業員などの森づくり・緑化ボランティア参加 

・社員参加による森づくり/勉強会 

事業活動と連携するもの・国有林を対象とした自然探検ツアーの提案などのニュービジネス
普及啓発をおこなうもの

・自然体験活動・森林環境教育の実施・運営 (自然体験プログラムの提供) 

・一般市民を対象にした啓発活動・情報提供 (どんぐりから森をつくる) 

・従業員などを対象とした啓発活動・情報提供 

・自然観察・森林活用指導者などの育成

参照:林野庁「参考資料

1.損保ジャパン:植林活動

損保ジャパンは、千葉県が東京オリンピックサーフィン競技開催地(千葉県長生郡一宮町東浪見)に造成した植林地で、 社会貢献活動の一環とする植林活動『SOMPOの森林「損保ジャパン九十九里浜の森」』をおこないました。

千葉県内の5部支店の社員とその家族および代理店の約150人が参加し、植樹した苗木の合計本数は1960本にのぼります。(クロマツ1000本・マサキ480本・トベラ480本) 損保ジャパン植林活動_画像出典:損保ジャパン「SOMPOの森林「損保ジャパン九十九里浜の森」植林活動について」(最終アクセス 2022/12/16)
また千葉県との協定に基づき、2027年1月まで森林整備活動として、苗木の成長促進のための下草除去作業等を毎年継続的におこなっています。

損保ジャパン_森林整備活動_画像出典:損保ジャパン「森林整備活動」(最終アクセス 2022/12/16)
さらに全国の自治体と協定した森林整備活動にも取り組んでおり、群馬県・鳥取県・長野県・高知県・三重県・宮崎県の6県において、地域、グループの社員、代理店、その家族とともに森林整備活動や環境教育を展開しています。 

2.イオン:森づくり

イオンは環境活動を代表する取り組みの1つとして、1991年から「ふるさとの森づくり」をおこなっています。「ふるさとの森づくり」では、 イオンの店舗周辺に古くからある神社や寺、屋敷林に残る樹木を調べ、その土地の本来の植生を推定したのち、店舗ごとに植える樹木の種類や割合を決めています。またその量だけでなく質にもこだわった、店舗ごとのオーダーメイドの森をつくっています。 

イオン_ふるさとの森づくり_画像出典:イオン「ふるさとの森づくり」(最終アクセス 2022/12/16)
イオンの植樹活動は日本だけでなく、中国、マレーシア、タイなどアジア各国でも展開されており、全国・世界各地で進めてきたイオンの植樹は、 2013年に1000万本になりました。

イオン_イオンの循環森プログラム_画像出典:イオン「イオンの循環森プログラム」(最終アクセス 2022/12/16)
 
東北地方では、津波によって失われた被災地域の緑を取り戻すために自治体やNPOと協力し、10年間に渡って30万本を植樹する「イオン東北復興ふるさとの森づくり」植樹もおこなっています。 

3.日揮グループ:森林環境整備事業

日揮グループ_森林再生パートナー_画像

日揮グループは、2008年より10年以上にわたり「森林再生パートナー」企業として、神奈川県の水源地域の森林環境整備事業に協力しています。持続可能な自然を守るためにおこなわれている当取り組みは、神奈川県民への安全・安定な水道水供給においても欠かせない重要な事業です。 

神奈川県からは日揮グループの支援によって、森林のCO₂吸収量が伸びたことを証明する認定書も発行されています。2013年度から2023年度までの10年間で、日揮グループが貢献した標準CO2吸収量は494t-CO2と算出されており、今後も積極的に支援を進めていく予定です。 

さらに日揮グループでは神奈川県の事業への資金的な支援と共に、水源林や人と自然が共存する大切さを知る「やどりき水源林活動」もおこなっています。コロナ禍前には、社員やその家族、友人など毎年延べ120名余りの参加がありました。 またおよそ月1回のペースで、関連協力会社の社員も参加できる企画も開催しており、ここでも水源林や人と自然の共存の大切さを多くの人が体感しました。

塚原水源林「日揮グループ癒しの森」   

日揮グループ癒しの森_地図出典:Googleマップ

日揮グループは2021年3月、森林再生パートナー企業の活動場所として神奈川県から約0.5haの植林地(神奈川県南足柄市)を貸与いただき、「日揮グループ癒しの森」と名付けました。同年4月には12種、約100本の植栽を完了しています。 

日揮グループ癒しの森_4種類の木_画像

植栽が完了した主な樹木としては、ケヤキ、コナラ、イロハモミジ、ヤマボウシ、カツラ、マメザクラ、ヤマツツジ、イタヤカエデ、アセビ、モミなどが挙げられます。  

植林を適切に管理するために

日揮グループ_癒しの森_画像
 
植林地の管理において重要なのは、植栽した苗木が健やかに育つよう、下層部に生える雑草や雑木を除去する「下刈り」作業です。この作業を怠ってしまうと、植えたばかりの幼い苗木は雑草や雑木に負け、日光を遮られたり水分を奪われたり、健全に育たなくなります。 

下刈りの方法は、苗木以外の雑草や雑木を全て除去する「全刈り」が基本ですが、風害などの心配がある場合は残すこともあります。  また同時に、広葉樹の幼木はつるによる被害を受けやすいため、つるの除去もおこなっています。

2022年6月の下刈り実施報告 

下刈りの実施_画像 「日揮グループ癒しの森」を適切に管理すべく、2022年6月には2回目となる下刈りを実施しました。 作業当日は神奈川県水源環境保全課職員の立ち合いのもと、参加者9名は、「NPO法人かながわ森林インストラクターの会」のスタッフ2名に安全および技術指導をしていただきました。 

下刈りの方法_イラスト

開会式や準備運動、作業手順と安全注意事項の確認をおこなった後は、下刈り作業を実施し、下刈りの方法として「横移動しながら斜面上方へ刈り込んでいく手法」の手ほどきをうけ、約2時間にわたり作業が進められました。植栽した苗木が健やかに育つための手助けになったことを願っています。

まとめ

植林_画像

今回は、日本の森林の現状や森林分野における企業の取組事例をご紹介しました。

(※本記事におきましては、取り扱っている情報の偏りから、運営会社(日揮グループ)にまつわる内容がメインとなっておりますことをご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。)

サステナビリティハブ編集部
サステナビリティハブ編集部

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