後編【プラント建設の未来を支える技術者たち #01】溶接技術のエキスパート|脱炭素化につながる新技術を開発

後編【プラント建設の未来を支える技術者たち #01】溶接技術のエキスパート|脱炭素化につながる新技術を開発

目次

    プラントの設計・調達・建設を主な事業の柱とする日揮グループでは、幅広い分野の技術エキスパート*が事業の根幹を支えています。彼らの持つ専門技術はプラント建設を支えるだけでなく、サステナブルな社会を実現するうえでも欠かせないものです。

    そこでサステナビリティハブでは、チーフエンジニア*の方々に専門技術や最新トピックなどをお伺いしながら技術知識を深めていく、新しい連載をスタートします。第1回目となる今回のテーマは、「溶接技術」。インタビュー後半となる本記事では、キャリアパスや転機となった出来事、プライベートの過ごし方などについて話を聞きました。是非ご覧ください。(インタビュアー:サステナビリティハブ編集部)

    *エキスパート制度は、日揮ホールディングス、日揮コーポレートソリューションズ、日揮グローバル、日揮が対象
    *チーフエンジニアは、チーフエキスパートとリーディングエキスパートの総称

    溶接技術の概要や最新トピックスなどについて聞いたインタビュー前半は、こちらの記事をご覧ください。

    溶接技術を核に積み重ねてきたキャリア

    ――現在、溶接技術のチーフエンジニアとして社内外で活躍されていますが、どのようなキャリアパスを歩んでこられたのでしょうか。

    私がアーク溶接の技術に初めて触れたのは、揚水発電所の配管の据え付けに携わった前職の時です。その後、会社が事業から撤退することになり、せっかく身に着けたアーク溶接の技術を活かせる場を探していた時に、ちょうど日揮で溶接技術者を募集しており、入社を決めました。

    入社後は、さまざまな海外プラント建設の配管工事の現場で、品質検査の合格率を上げるための原因究明や改善施策の提案をしたり、難しい材料の溶接方法を教えたり、コストダウンにつながるような溶接技術を開発したり、そうした仕事をしてきました。

    ――25年を超えるエンジニア人生において、印象に残るエピソードがあれば教えてください。

    溶接トラブルへの対応のため、東南アジアのLNGプラント新設プロジェクトの建設現場に出張した時のことです。帰国前夜に、今後の対応に関して顧客と合意事項を覚書としてまとめるところまで無事行きついたのですが、PD(プロジェクトディレクター)に覚書を見てもらったところ一点あいまいな記述があり、これを明確にしてから帰国するように言われました。すでに夜遅い時間で客先担当者は就寝直前でしたが、渋る彼を説得して部屋を訪問し、曖昧な記述を訂正しました。担当者からは嫌味を言われましたが、プロジェクトの責任者としてプロジェクトを完遂しようとするPDの気迫や執念を、身をもって感じた瞬間でした。

    業務を進める中で流されることも少なからずありますが、この時のPD のように仕事をやり遂げる気迫・執念を持ち続けていたいと思っています

    プライベートの過ごし方

    ――プライベートの時間はどのように過ごしていますか。最近の関心ごとや、趣味などがあれば教えてください。

    ここ数年は、年に1回の100km以上のウルトラマラソン、3~4回程度のフルマラソン、1~2回のハーフマラソンに参加しており、それに向けてトレーニングをしています。また、中学生の頃からHeavy Metalが大好きで聞き続けており、好きなバンドが来日すればその公演を見に行っています。今年は9月末と12月に長年追い続けているバンドが来るので、今から楽しみにしています。社内でもヘビーメタル好きの集まりがあり、年に1~2度の飲み会の後、カラオケで声を枯らして歌っています。

    長距離走のトレーニングとの両立が難しく、今は年に1、2度しか行くことができませんが、海での船釣りも好きですね。獲物を捌いて刺身や煮魚にして、それを肴にして飲む酒は格別です。

    ――仕事も趣味も充実した日々を過ごされていますが、ワークライフバランスはとれていると感じますか?仕事と家事・育児の両立において、特に意識していることがあれば教えてください。

    海外出張が多く、家庭には迷惑をかけているなと感じることもありますが、その分、日本にいるときは毎朝家族4人の朝食と娘2人の弁当を準備したり、週末の食事の準備をしたりすることで、なるべく家事に参加するように努めています。また、子どもたちの参観日、体育祭や文化祭などの学校行事にはなるべく顔を出すようにしています。娘は2人とも女子校に通っており、参観日に初めて女子校に足を入れた際には、出席していた保護者も母親が大半で居心地の悪さを感じましたが、今はだいぶ慣れてきました(笑)。

    ――ご家族との時間も大切にしている様子が伝わってきます。今後、プライベートで挑戦してみたいことはありますか。

    なかなか時間が取れず中断している、日本百名山を制覇したいと思っています。子供が高校を卒業する数年後に登山を再開できたらいいですね。大型自動二輪も持っているだけで乗れていないので、整備して再開したいという思いもあります。体力と視力、平衡感覚の衰えが心配なところですが…。母方の祖母の実家が会津藩領であり、父方や母方祖父の実家は天領だったので、佐幕派の視点で幕末から明治初期の歴史の勉強をしたいと思っています。新たな発見も色々となされており、幕末歴史観が変わりつつあるので、知的好奇心をそそられています

    理想とするエンジニア像とは?

    ――最後に、高橋さんが目指す“理想のエンジニア像” を教えてください。

    最初に入社した会社で、諸先輩方がその領域において世界一の溶接技術を持っているという誇りのもと、仕事をしておられました。若い頃に世界一の溶接技術の一端に触れ、その奥深さを実感した経験が、その後、より広範囲な領域の技術を身につけながら、溶接技術を核としてキャリアを築いてきた自分の社会人生活の礎になっています。業務や技術の多くは少しずつ進歩し変化するものなので、業務や技術の習得のための日々の研鑽は欠かせません。

    「エンジニアとはどんな難しい局面であっても何とか解決してしまう人のことである」というのは前職の上司の言葉ですが、私もそのようなエンジニアに一歩でも近づきたいという思いで、日々の業務に向き合っています。

    まとめ

    今回の記事では、溶接技術のチーフエンジニアに、キャリアパスや転機となった出来事、プライベートの過ごし方などについて話を聞きました。溶接技術の概要や最新トピックについて聞いたインタビュー前半は、こちらの記事をご覧ください。

    サステナビリティ ハブ編集部

    サステナビリティ ハブ編集部

    サステナビリティに関する情報を、日本から世界に発信していきます。