IDEA気づき

環境や安全性に考慮したプロットプランの作成

事例 日揮グループの紹介
目次

広大な敷地に多くの機器や装置が集まる、石油化学製品を作る工場や発電所などを総称して「プラント」と呼びます。プラントのプロットプラン(配置計画図)を作成する際には、周辺環境への影響に配慮することはもちろん、大量の建設資材の搬入方法等も含め、設計段階から環境や安全性を考慮する視点が必要です。

大がかりなプロットプランになるからこそ、従来のような人の手による設計では多数のケーススタディを行うことは難しく、どうしてもベテランの勘に頼ったプロットプランになりがちでした。

今回は、環境や安全性を考慮したプロットプランについて考えていきます。

プラントが抱える社会課題

プラント外観

プラントは、工業活動に必要な素材や資源を作り出す生産設備一式のことで、産業や社会の基盤を支える重要な施設です。プラントの建設が始まってから完工までで数年間、操業を開始してからは数十年間と長期にわたって事業が行われるため、あらかじめ社会や周辺環境に与える影響を考慮したプロットプランを作成することが重要になります。

プラント操業に欠かせないリスクヘッジ 

プラントの操業時には、周辺環境に影響を及ぼす可能性のある有毒な排ガスや騒音などに配慮して、あらかじめ排ガス処理装置や防音設備などを設置する必要があります。

また、地震などの災害によってタンクからの漏洩や火災、爆発などの事故が引き起こされた場合、規模の大きなプラントでは地域社会に大きなダメージを与える恐れもあります。こうした事故による影響を最小に留めるための対策も欠かせません。

大規模プラント設計・建設におけるリスクヘッジ

プラントの中には無数の機器や装置があり、それらを繋ぐために縦横無尽に配管が引かれています。配管を支えるために使用する鉄骨やコンクリートなどの資源も膨大な量となります。限りある資源を有効に使うためにも、コンパクトにまとまった無駄のないプラントを設計する必要があります。 

また、プラントの建設工事は大規模なものになると数年がかりとなり、建設作業員も数百人から数千人といった多くの人数が動員されます。建設期間は資材の搬入や作業員の通勤などで、地域の交通網に大きな負荷が掛かります。建設工事をスムーズに行い、短納期で完工することは、地域社会の交通網の負荷を低減するという点からも重要な課題となっています。

環境や安全性に配慮したプラント設計

プラント建設前には、プロットプラン(配置計画図)の作成というプロセスがあります。プラントはお客様が建設して運転するものなので、経済合理性が求められることに変わりはありませんが、以下のような項目にも配慮して作成することが不可欠です。

下記は、プロットプラン(配置計画図)のイメージです。

プロットプラン(配置計画図)イメージ

ここでは、以下の項目に配慮されています。

  1. プラント性能を充足させるためのプロセスの要求事項
  2. プラント操業時の安全性
  3. プラント運転時の運転の容易性
  4. 建設期間を最小にするための建設工事手順
  5. 周辺環境への配慮
  6. 地形や景観への配慮
  7. 経済性の確保

個々の項目の詳細説明はこの場では割愛し、今回のテーマである2.プラントの安全性と5.周辺環境への配慮に関する事例について紹介します。

2.プラント操業時の安全性の配慮事例(機器配置の考慮事例)

プラントは可燃性の流体を扱う場合があります。可燃性の流体(特にガス)が、万一漏れた場合、着火源があると火災となります。したがって、可燃性の流体を扱う機器は、着火源(加熱炉)の風下に設置することを考え、火災のリスクを低減しています。

5.周辺環境への配慮事例(騒音の配慮事例)

プラントは基本24時間操業です。プラント内には音を発生させる機器(ポンプ、コンプレッサー、送風機などの回転機械類)が多数設置されているため、もしプラントの設置場所の近くに居住地があった場合、騒音の原因になることも懸念されます。

このような場合には、ノイズ解析を行い、近隣の居住地に影響を与えない対策を講じ、プロットプランの作成時に反映することが必要になります。

環境や安全性を考慮したプロットプランのイメージ

つまり、プラントの設計には、環境や安全性も考慮する必要があります。

プロットプラン自動設計システム

Auto Plot PATHFINDER イメージ

ここまで挙げてきたように、プロットプランの作成においては多くの乗り越えるべき課題があります。そこで、事前に機器や装置のレイアウトの工夫をすることによって、操業時の騒音の広がりや事故時の被害の程度を低減できたり、建設工事のしやすさを向上し工事スケジュールを短縮できたりするようプロットプラン(配置計画図)を立てることが非常に重要になってきます。

日揮グループの開発した「Auto Plot PATHFINDER®」は、最新のAI技術によって多数の最適なプロットプランを自動で作成することができます。設計の初期段階からAIを活用したシステムを活用し、プロットプランを比較検討することで、お客様の意向や要望も取り入れて、従来の、人の手では創り得なかった最適なプロットプランを短時間でご提供出来るようになりました。 

プロットプランを最適設計するシステム

Auto Plot PATHFINDERの使用イメージ

ここからは、「Auto Plot PATHFINDER®」でできることをご紹介します。

「Auto Plot PATHFINDER®」は、ビッグデータ解析技術や遺伝的アルゴリズムなどを組み合わせた、プロットプラン自動設計システムです。アルゴリズムによる自動設計技術に加えて、ベテランの設計者のノウハウも数値化・定式化されて組み込まれており、高品質のプロットプランを短時間で数十から数百通り得ることができます。自動設計されたプロットプランを様々な視点から比較検討することで、より良い事業計画を策定することができます。  

人が思いつかない解を創出可能 

人の手でプロットプランを作成しようとするとき、長年の勘や先入観による偏った設計になることがあります。また同様に、新しい視点を持つことが難しくなるといった欠点もありました。

「Auto Plot PATHFINDER®」による設計では、そのような先入観に邪魔されることなく、様々なパターンを広く試すことができるため、人が思いつかないような斬新なプロットプランを創出することも可能です。また、建設に必要な資源や建設の工期、災害時のリスクもシステム上で把握することができます。

まとめ

プラント近影

昨今は、プラントの設計に環境や安全性の考慮が一層求められる時代になりました。プロットプラン自動生成システム「Auto Plot PATHFINDER®」を活用することで、様々な視点でプロットプランを比較検討し、お客様の意向や要望も取り入れて、従来、人では思いつかなかった最適なプロットプランを提供出来るようになりました。人では思いつかなかったプロットプラン、あなたのプラントに適用してみませんか。


サステナビリティハブ編集部
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