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サーキュラーエコノミー 繊維リサイクル

2025.12.01

不用になった服を寄付するには?方法や寄付先、注意点を解説 0

不用になった服を寄付するには?方法や寄付先、注意点を解説

目次

    衣替えや断捨離の際、「もう着ない服だけれど、捨てるのは早いかも?」と思ったことはありませんか?処分するのは勿体ないけれど、整理整頓の観点から服を手放したいときにオススメな方法が「寄付」です。

    洋服の寄付は、ゴミとして廃棄しないことでCO₂排出*を抑えられるほか(※燃焼に伴う)、資源のリサイクルへつなげられたり、洋服を必要とする人の一助になったりと、SDGsなアクションの1つです。そこで今回は、不用になった衣服の寄付方法や寄付先、注意点まで詳しく解説します。

    そもそも着なくなった服は無料で寄付できる?

    不用になった服は多くの場合無料で寄付することができますが、寄付方法には「服そのものを寄付する方法」と「服を査定してもらい、その査定額を寄付する方法」の2種類があります。

    服そのものを寄付する場合は、リユースとして国内外の人々に直接届けられるほか、繊維原料としてリサイクルされます。服の査定額を寄付する方法では、衣類の価値に応じた金額が環境保護や教育支援といった社会課題に取り組む団体宛てに寄付されます。衣服のリユースに加えて、関心のある社会課題にも貢献できる点が魅力でしょう。

    【5選】不用になった服の寄付方法

    不用になった衣服の寄付方法には、どのようなものがあるのでしょうか。

    1.衣類回収ボックスを利用する

    するーぷ
    実際に設置されている、衣類回収サービス「するーぷ」の衣類回収ボックス

    不用になった衣服をボックスに投函することで、寄付やリユース、リサイクルなどの循環型社会に還元できるシステムがあります。この衣類回収ボックスはショッピングモールや公共施設、スーパーマーケットなどに設置されていることが多く、買い物や外出のついでに利用できる点がメリットでしょう。

    回収ボックスを通して集められた衣服は、状態に応じて国内外の福祉・支援団体等に寄付されるほか、国内の古着店などで再販売されます(リユース)。状態が悪く、繰り返しの着用が難しい場合は裁断・分別されたのち、工業用の布であるウエスや建築用の断熱材/防音材、自動車の内装材などとして再利用されます。

    衣類回収ボックスはアパレルブランドや近隣の自治体など、身近な団体が展開していることも多いため、よく利用する施設や最寄りの店舗を調べてみるのも良いかもしれません。

    2.アパレルブランドの回収プログラムに参加する

    ユニクロリサイクルボックス

    近年は多くのアパレルブランドが環境保全や社会貢献の一環として、「不用になった衣類を回収するプログラム」を実施しています。メリットとしては、常設店舗に気軽に持ち込める点や、クーポンなどの特典が受け取れる点が挙げられます。たとえばH&Mやユニクロでは、店舗のレジカウンターに古着を持ち込むことで次回購入時に使えるクーポンや割引券が受け取れるサービスを提供しています。またブランドによっては自社ブランドの以外の衣類も受け付けているケースもあります。

    寄付された衣類のうち、状態の良いものは再販されたり、支援団体を通して必要としている人々に届けられるほか、着用が難しいものはリサイクルされ、新しい衣服や工業用資材等に再利用されます。

    ブランド独自の仕組みで再資源化される衣類回収に協力することで、循環型ファッションを気軽に体験できるアクションとなっています。

    3.自治体での資源回収を利用する

    段ボールに洋服や靴を詰める

    多くの自治体では環境問題の取り組みの一環として、不用になった衣類回収サービスを積極的に実施しています。定期的に開催される資源回収イベントや、公民館・区役所などに設置された回収場所を通じ、不用になった服を手軽に寄付することができます。

    回収された衣類の活用方法は自治体ごとに異なりますが、地域内の福祉施設/海外の支援団体に送るケースや、リサイクル資源としてウエスや断熱材に加工するケースがあります。

    4.市民団体・NPOを通じた寄付

    古着が入ったリサイクル段ボールを持つ人

    不用になった服の寄付先として、市民団体やNPO法人も積極的に活動していることをご存知でしょうか。

    多くの団体では郵送による受付をおこなっており、自宅から手間をかけずに寄付できる点がメリットです。定期的に地域の公民館や公共施設で回収イベントを開催する団体も多く、手渡しで寄付することも可能です。

    寄付された衣類は生活困窮者を支援する炊き出し団体や福祉施設に届けられるほか、海外では難民キャンプや自然災害の被災地など、衣類が不足している様々な地域で活用されます。

    5.児童養護施設・福祉施設への寄付

    段ボールに入っている人形や子供服

    市民団体やNPO法人を介さず、児童養護施設や福祉施設に不用になった衣服を直接寄付することも可能です。子ども服や季節の衣類を募集している場合も多く、成長の早い子どもや寒さ対策を必要とする入所者にとって大きな助けになります。

    注意点としては、施設によって受け入れ可能な衣類の種類・状態は異なるため、事前の問い合わせがオススメです。「今は冬服が不足している」「未着用品のみ受け付けている」といった条件を教えてもらえることで、衣服を必要とする人々に適切な支援を届けることができます。

    寄付された服はどのように活用される?

    寄付された服は状態や素材に合わせて、次のように活用されます。

    • リユース:国内・海外で衣類を必要とする人々に届けられる
    • リサイクル:新しい衣類の素材や工業用ウエスに繊維リサイクルされる

    リユース:国内・海外の必要な人々に届けられる

    寄付された衣類のうち、状態の良いものは国内外でリユースされ、衣服を必要とする人々に届けられます。

    日本では児童養護施設や福祉施設に寄贈されることが多いですが、成長が早い子どもたちの衣類費用が抑えられることで、施設は費用を洋服以外(そのほかの物資や教育など)に充てることができます。 また女性シェルターや生活困窮者支援団体などでも、寄付された衣類が役立てられています。

    海外ではNPOや国際支援団体を通じて、自然災害の被災地や衣類不足が深刻な地域に届けられるケースが一般的です。現地では寄付された衣類が直接提供されたり、販売を通じて得られた資金が教育や医療活動に充てられる仕組みも存在しています。

    寄付された衣類は国内を問わず多様な形でリユースされ、各施設での生活支援、被災地や途上国での国際協力など、複数の側面から社会的な意義を持つ取り組みといえそうです。

    リサイクル:新しい衣類の素材やウエスにリサイクルされる

    寄付された衣類のうち、再着用が難しい状態のものは「リサイクル素材」として再活用されます。たとえば綿や麻などの天然素材から作られた衣服は細かく裁断・解繊したあとに糸に戻し、新しいTシャツ・ジーンズの原料となるほか、綿素材は油やインクをふき取る「工業用ウエス」として生まれ変わり、自動車や印刷工業などで重宝されます。

    ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、建物や自動車の断熱材・防音材として再生されることが多く、素材ごとに多様な形で資源として生かされています。

    また近年は環境意識の高まりを背景に、有名ブランド等がリサイクル素材を使った商品を展開するようになりました。寄付された衣類のリサイクルは廃棄物削減だけでなく、新しい製品や工業資材としての再利用を通じて社会全体の資源効率を高める役割を果たしています。

    【オススメ】無料で利用できる、服の寄付先・回収サービス3選

    無料で利用できる、不用になった服の寄付先・回収サービスのオススメは以下3つです。

    • するーぷ
    • こども服みらいファンド
    • Brand Pledge

    1.するーぷ

    するーぷ」は、IoT機能を搭載した次世代型の衣類回収サービスです。横浜ランドマークタワーや相鉄ジョイナスなど、商業施設内に設置された専用ボックスの利用で、不用になった服を寄付できる仕組みを提供しています。

    アプリをダウンロードして会員登録をおこなった後は、回収ボックスにあるQRコードを読み取るとボックスの施錠が解除できます。衣服の投入量に応じて付与されるポイントは、お買物券やクーポンに交換できるほか、様々な団体等へ寄付することが可能です。

    2024年におこなわれた神戸市での実証実験では約2か月半で8,130kgもの衣類が回収され、そのうち約64%が中古衣料やウエス材料、反毛材としてリユース・リサイクルされました。日本全体の衣類リサイクル率の約30%を大きく上回る結果となっており、メディアが注目する衣類回収サービスの1つです。

    2.こども服みらいファンド

    こども服みらいファンド」は、子どもの成長により不用になった服を有効活用できる、無料の寄付サービスです(※送料は利用者負担)。

    寄付された子供服は査定され、査定額が「こどもの未来応援基金」に寄付されます。基金は、子どもの貧困対策や学習支援など衣食住を支えるNPO活動に活用されるほか、衣服は次に必要とする家庭へリユースされる場合もあります。対象は新生児サイズから140サイズまでのこども服、10点以上から寄付可能となっています(2025年11月現在)。

    着られなくなった衣服を、子どもたちの未来に繋ぐアクションに、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

    3.Brand Pledge

    Brand Pledge」は、不用になった洋服やブランド品を査定してもらい、その金額を自分が選んだ団体へ寄付できるサービスです。

    公式サイトから寄付先団体を選び、自宅に届いた段ボールに寄付したいアイテムを入れます。その後は届いた査定結果を確認しながら、郵送したアイテム1点1点に対して「寄付するか・返却してもらうか」を選ぶことが可能です。ダンボールの往復送料・キャンセル時の返送送料含めて、全てBrand Pledgeが負担するため、利用者の金銭的負担が無いところも魅力です。

    寄付先は環境保護や動物保護、女性支援など多様な分野から700以上の団体を選択でき、寄付の度に最大300円が上乗せされて寄付されます(※2025年11月時点)。

    【4選】不用になった服を海外へ寄付する団体・サービス

    不用になった服を海外へ寄付する団体・サービスのオススメは以下4つです。

    • 古着deワクチン
    • 日本救援衣料センター
    • 日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)
    • ワールドギフト

    1.古着deワクチン

    古着deワクチン」は、不用になった衣類を通じて国際貢献ができる寄付サービスです。

    専用の回収キットを購入し、手放したい衣服や靴、バッグなどを詰めて送ると、それらがカンボジアや開発途上国を中心とする海外に届けられるほか、ポリオワクチンの寄付にもつながります。

    利用者からは「大切にしていた服が誰かの役に立つと思うとスッキリした」「ただ廃棄するのとは違い、再利用してもらえて家も片付く」という声が寄せられています。この取り組みは国内の福祉事業所での雇用創出にも貢献しており、国内では専用回収キットの作業を障がいがある方々が担っています。衣類の寄付を通じて、クローゼットの整理、国際支援、福祉活動という社会貢献を実現できる点が特徴です。

    2.日本救援衣料センター

    日本救援衣料センター」は、貧困や自然災害、紛争の影響で衣料を必要とする世界中の人々に衣服を届ける活動を行っている認定NPO法人です。

    1983年にウガンダへ約2トンの衣料を初めて寄贈して以来、継続的に支援活動を展開しています。近年では自然災害や紛争による避難者の増加に伴い支援要請が増え、より多くの衣料品の支援を求めており、主にアフリカや東南アジア、中米などに衣料品を届けています。

    3.日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)

    日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)」は、家庭で不用になった衣類や毛布、バッグなどを回収し、パキスタンのスラム地域に暮らす子どもたちの自立支援に役立てる活動をおこなう団体です。

    回収した衣類はパキスタンでリユース販売され、その収益はスラムにある学校「アル・カイールアカデミー」の運営費として活用されます。2023年度は約114トンの衣類が回収され、延べ14,854名からの寄付が集まりました。定期的な衣類回収イベントも開催されており、SNSでの情報発信も積極的におこなわれています。寄付を検討する際は公式サイトやSNSで最新の回収情報を確認するとよいでしょう。

    4.ワールドギフト

    ワールドギフト」は、不用になった衣類を回収し、貧困地域や被災地で暮らす人々に届ける団体です。

    アフリカ、アジア、中南米など90カ国以上を支援対象としており、特に紛争地域や自然災害の被災地などに衣類を届けています。寄付方法は宅配便による送付が基本で、送料は箱の大きさに応じた全国一律の集荷料金(沖縄・離島を除く)が必要です。受付可能な衣類は季節を問わず幅広く、全年齢の衣類を受け入れています。寄付された衣類は現地のニーズに合わせて仕分けられ、必要としている様々な人の手に渡るよう活動がおこなわれています。

    不用になった服を寄付する3つのメリットは?

    リサイクルマークが入ったトートバッグ

    不用になった服を寄付するメリットは以下3つです。

    • 地球環境保護につながる
    • 社会貢献につながる
    • お得なクーポンや商品券がもらえるケースもある

    地球環境保護につながる

    日本では、不用になった衣類の約66%が焼却または埋め立てによって処分され、リサイクルやリユースされる割合はわずか34%にすぎません。

    焼却処分では有害物質が大気中に放出されることで深刻な大気汚染を引き起こされます。さらに、埋め立てられた衣類に含まれる合成繊維は分解されず、やがて微細なマイクロプラスチックとなって土壌や水系を汚染します。

    しかし不用になった衣服を寄付することで、こうした環境負荷を軽減することができます。衣服を必要としている人に寄付したり、新しい衣類の原材料として再利用することで、1着あたり約0.5kgのCO₂排出削減につながります。(出典:環境省「サステナブルファッション」

    社会貢献につながる

    不用になった服を寄付することは、多くの人々の生活を支える直接的な社会貢献となります。国内では児童養護施設や福祉施設に必要な衣類を届けることができるほか、海外では衣料品が深刻に不足している地域の人々にとって大きな支援となります。

    さらに近年では寄付した服の査定金額に応じ、環境保護や教育支援など自分が関心を持つ団体を支援できるサービスも増えています。服を寄付するだけでなく、社会課題の解決に貢献できることも服を寄付するメリットといえるでしょう。

    お得なクーポンや商品券がもらえるケースもある

    不用になった服を寄付すると、クーポンや商品券といった特典を受けられることもあります。H&Mやユニクロなどのアパレルブランドでは、不用な衣類を店頭に持ち込むと次回購入時に使える割引クーポンが提供されています。

    また一部の回収サービスでは、寄付した衣類の量に応じてポイントが付与され、それを提携店舗で使えるクーポンと交換できるシステムを導入しています。例えば「するーぷ」という次世代型衣類回収ボックスでは、投入した衣料の重さに比例してポイントが貯まり、商業施設などで利用できる商品券・クーポンと交換できます。

    不用になった服を寄付する際の注意点も知っておこう!

    段ボールに古着を詰める様子

    不用になった服を寄付する際の注意点は以下3つです。

    • 寄付先によって受け入れ可能な服が異なる
    • 洗濯・クリーニング済みが条件になっている場合が多い
    • 手数料・送料が自己負担になる場合もある

    寄付先によって受け入れ可能な服が異なる

    受け入れ可能な服の種類や状態は、寄付先によって大きく異なります。例えば、児童養護施設は子ども服を中心に受け付けていますが、海外支援団体では現地のニーズに合わせた季節の衣類のみを募集している場合があります。

    そのため、衣類を寄付する際には必ず各団体の受付条件を確認することが重要です。状態についても「未使用品のみ」、「多少の使用感は可」など基準が異なるため、事前に確認しておきましょう。

    洗濯・クリーニング済みが条件になっている場合が多い

    不用になった衣服を寄付する際、大半の団体や回収サービスは洗濯やクリーニング済みの清潔な衣類を条件としています。これは寄付された衣類が直接人の手に渡るケースが多いためです。

    特に児童養護施設や海外支援の現場では、衛生管理の観点から未洗濯の衣類は受け付けられません。衣服の寄付時には、洗濯やクリーニングをしてからにしましょう。

    手数料・送料が自己負担になる場合もある

    衣服の寄付では、送料や手数料が自己負担になる場合があります。特に郵送での寄付においては多くの団体が送料を寄付者による負担としています。海外支援団体への寄付なら、衣料品10kgあたり約1,500円の海外輸送費も必要です。そのため寄付先の団体のウェブサイトや問い合わせ窓口で、事前に費用に関する情報を確認しておきましょう。

    まとめ

    今回は、不用になった衣服を手放す方法の1つ「寄付」についてご紹介いたしました。皆さまの参考になれば幸いです。

    サステナビリティ ハブ 編集部

    サステナビリティ ハブ 編集部

    サステナビリティ ハブは、日揮ホールディングス株式会社が運営する、企業のサステナビリティ活動を支援するオウンドメディアです。SDGsの達成に不可欠なソリューション、国内外の先進的な事例、サステナビリティ経営のヒントなど、課題解決に繋がる多様な情報を発信しています。長年、プラントエンジニアリングや社会インフラ構築に携わってきた日揮グループの知見を活かし、専門性を持ったメンバーが信頼性の高いコンテンツをお届けします。

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