2026.04.06
使い終わった食用油をどうしてる?「固める捨て方」だけではない、環境に優しいリサイクル方法とは
目次
皆さんは、ご家庭で天ぷらなどの揚げ物料理をした後、どのように食用油を捨てていらっしゃるでしょうか。
排水口に直接食用油を流してしまうと、川や海に流れて水環境を汚してしまうだけではなく、排水溝や下水道管内で油が冷えて固まり、詰まりや悪臭の原因となってしまう恐れもあります。
ご家庭での食用油の処理方法は、お住いの自治体によってその処理方法は異なりますが、新聞紙や古布に油を吸わせて可燃ごみとして捨てる方法や、市販の処理剤を使用して固めて捨てる方法などが一般的によく知られています。
そんななか、手軽で環境に配慮した、新しい食用油の捨て方が最近注目を集めています。
この記事では、ご家庭での食用油の処理方法をおさらいしたうえで、環境に優しい「飛行機の航空燃料(SAF)」へのリサイクルの方法など、食用油の色々な捨て方をご紹介していきます。
食用油の捨て方【一般的な方法】

揚げ物をして油を捨てる際に、「買い置きの油の処理剤がなかった!」という経験はありませんか?
処分が必要な油の量に合わせた、一般的な油の捨て方を、まずはおさらいしていきましょう。
少量の油:ペーパータオルや新聞紙に吸わせる
炒め物や揚げ焼きなどで少し多めに油を使った場合など、少量の油であれば紙や古布に吸い取らせるだけで簡単に処理することができます。
- 方法
ペーパータオルや新聞紙などに油を吸わせ、可燃ごみとして処分します。
少し量が多い場合は、空の牛乳パックやポリ袋の中に丸めた新聞紙や古布を詰め込んで油を入れると、漏れにくく安心です。
※ポイント
油が熱いうちに処理をすると、ポリ袋が溶けたり、最悪の場合紙が自然発火したりしてしまう恐れなどもあります。
手で触れられるくらいの温度に油が完全に冷めてから作業を行いましょう。
やや量が多い油:油の処理剤を使う
昔からよくある固めて捨てる凝固タイプの処理剤や、吸収タイプ、乳化させて水に流せるタイプなど、市販の廃食用油の処理剤の中でも色々な種類が販売されています。
ご自身の生活に合った油の処理剤をストックしておいて、いざという時に焦らなように備えておくのもおすすめです。
油の処理剤には、主に以下のような種類があります。
●凝固タイプ
最も一般的でドラッグストアなどでもよく見かける、固めて捨てるタイプの処理剤です。
揚げ物をした直後の熱い油に処理剤を投入し、かき混ぜてから固まるのを待ちます。
冷えて固まったら、そのまま可燃ごみに捨てることができます。
●吸収タイプ
天然パルプ素材などの専用シートに、冷めた状態の使用済みの油を吸わせるだけで可燃ごみに捨てられるタイプの処理剤です。
凝固タイプよりも手軽に処理できると人気です。
●液体(乳化)タイプ
使い終わった天ぷら油に、水と処理剤を一緒に混ぜることで油を洗剤化させる、という点が大きな特徴です。
油の処理と、使用した鍋の洗浄を一度に終わらせることができるところが、とても手軽だと言われています。
やや量が多い油:片栗粉や小麦粉で代用する
「少し量が多いけど、油の処理剤がない…」という時は、キッチンにある片栗粉や小麦粉で代用することができます。
- 方法
揚げ物後のまだ油が熱いうちに、油と同量程度の片栗粉(または小麦粉)を入れてよくかき混ぜます。
冷えるとドロッとしてくるので、完全に冷めたのを確認してからビニール袋に入れ、可燃ごみとして処分します。
※ポイント
凝固剤とは異なり、完全に固まるわけではないので必ず袋に入れてから処分しましょう。
また油の量が多いと大量の粉が必要になってしまうため、あくまで「少量〜やや多め」の油を処分したい場合のテクニックとして、覚えておくと便利です。
食用油の捨て方【より環境に優しい方法】
ここからは、一般的な食用油の捨て方から少し先に進んで、さらに環境に配慮した油の捨て方をご紹介していきます。
コンポストを活用する

家庭菜園やガーデニングが好きな方におすすめなのが、コンポストを使用する処理方法です。
コンポストとは、家庭から出る生ごみや落ち葉、汚泥などの有機物を、微生物の働きを利用して発酵・分解させて堆肥を作る方法で、段ボールやバッグ型のコンポストなどを使用して簡単に始めることができます。
都市部の一般家庭でも気軽に始められるコンポストには、主に以下のような種類のものがあります。
●段ボールコンポスト
基材を入れた段ボール箱に生ごみを投入してよくかき混ぜ、3週間ほど熟成させます。
段ボールはベランダや庭に置き、2〜6 か月程度で交換が必要です。
最も手軽に始められるコンポストですが、手軽であるがゆえに虫が発生するリスクなどもあるため、布袋に段ボールを丸ごと入れて、布袋の口を閉じておくなどの対策をしておくと良さそうです。
●バッグ型コンポスト
専用のバッグに基材を入れ、生ごみを投入してからよくかき混ぜます。
ファスナーで開閉可能であるなど虫が入りにくい仕様になっており、都市部のベランダでも取り組みやすいコンポストです。
●設置型コンポスト
庭がある場合に利用できるコンポストで、庭の土を掘り、コンポストの下の部分を埋めます。
上にはふたがついています。落ち葉や雑草なども入れることができ、いっぱいになったら 2〜3 か月熟成させます。

コンポストを活用するようになれば、ガーデニングに使用する土づくりのために肥料などに頼らなくて済むようになり、生ごみ処理のために発生する環境負荷を減らすこともできます。
また経済的な面においては、肥料代だけでなく生ごみが減った分のごみ袋代の節約にもつながり、ガーデニングをする方にとっては大きなメリットと言えそうです。
使用済みの食用油をコンポストに投入する場合は、生ごみの分解を阻害しないために一度に入れる廃食用油の量を 200 ミリリットル以下を目安に調整する必要があります。
油類をあまり入れ過ぎると臭いが発生する原因にもなってしまうため、堆肥の状態を確認しながら投入するようにしましょう。
参 照 : 東 久 留 米 市 「 ダ ン ボ ー ル コ ン ポ ス ト Q & A [ PDF ] (最終アクセス 2026/3/31)
廃食用油の回収サービスを利用する
捨てる量などに制限がなく、環境にも優しい廃食用油の捨て方として最もおすすめなのが、自治体や企業が行っている廃食用油の回収所への持ち込みです。
(参考:神奈川県「廃食用油のリサイクル」 )
回収された廃油は、ろ過・脱水・精製の処理を行い、不純物を取り除くなど用途に応じた複数の工程を経て再利用されます。
その後、石けんやインク・バイオディーゼル燃料などの原料として再利用されるほか、近年では「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」としての再利用も普及しつつあります。
持続可能な航空燃料「SAF」として再利用が可能

家庭から出された廃食用油のリサイクル方法として最近特に注目を集めているのが、持続可能な航空燃料「SAF(サフ)」の原料への活用です。
飛行機を飛ばす際に、既存の航空燃料ではなく SAF を使うことで、温室効果ガスの排出量を大幅に減らすことができると言われています。
SAF への再利用に参加するには?

市町村によっては、家庭から排出される廃食用油を資源ごみなどとして回収・リサイクルできるケースが増えており、廃食用油の回収場所を設置している大手スーパーや公共施設等も増えてきています。
ご家庭から出た廃食用油を SAF に役立てたい!と思ったら、以下のルールを守って回収に出しましょう。
- 容器に入れる
油を十分冷まし、大きなカスを網やペーパーで取り除いてから、蓋がしっかり閉まる空ペットボトルなどに入れます。 - 持ち込む
お住まいの地域の公共施設・リサイクルセンター・協力スーパーなどの回収拠点へ持ち込みます。(容器ごと回収してくれる場合と、専用のポリタンクなどに流し込む場合などがあります)
※ポイント
未使用・未開封(期限切れ)の油も回収に出すことができます。
※注意点
ほとんどの場合、回収の対象となるのは常温液体の植物油(サラダ油、菜種油、オリーブオイルなど)のみです。
ラードやバターなどの動物性油は対象外となることが多いため、事前に地域のルールを確認しましょう。
神奈川県の回収事例
神奈川県の公式サイトでは、各区市町村の回収拠点や回収方法が紹介されています。
地域によっては、自治体の公式サイトなどで回収拠点を紹介されている場合もありますので、お近くの回収場所を探す一助にしてみてください。
廃食用油回収キャンペーン
日揮ホールディングス株式会社が主導し、数多くの自治体や企業 も参加する「 Fry to Fly Project 」の一環として、以下のようなコンテンツやイベントなども随時開催されています。

SAF への廃食用油リサイクルが一般認識としても当たり前のこととして広まることで、より早い普及・拡大が期待されています。
「廃食用油の回収」をもっと楽しく、身近に感じてもらうためのプロジェクトも活発に行われています。
SAF 関連コンテンツ
アニメーション動画
子供から大人まで、資源循環の仕組みを一目で理解できる動画です。
「フライガチャ」の設置・VR体験会
「Fry to Fly Project 」のコンテンツとして、「フライガチャ」が都内各地でイベントの際に会場に設置されました。
家庭で使用した廃食用油を持参した場合などに 1 回まわすことができ、参加者にはステッカーや缶バッジなどの参加特典がプレゼントされます。
羽田空港「空の日」フェスティバル 2025、あだち区民まつり「A-Festa 2025」、東村山市エコライフフェアなど、都内各地のイベントにて登場し、人気を博しました。
また「Fry to Fly Project 」イベント内にて、SAFができるまでの様子をVRで体験できる映像体験会なども行われており、持ち込んだ廃食用油がSAFになる意義を一般の方にも感じていただけるコンテンツとなっています。

こうした活動は、単なる「ゴミ出し」を「社会貢献というポジティブな行動」へと変える大きな力になっています。
紹介記事:東京新聞「「Fry to Fly Project」が東京都と共に3年間に渡り取り組む廃食用油回収促進プロジェクト 「Tokyo Fry to Fly Project~油で空飛ぶ大作戦~」の活動をご報告」
まとめ:手軽で環境にやさしい廃食用油の回収サービスを活用しよう

使い終わった廃食用油は、「捨てるのが面倒なごみ」と感じる方も多いのではないでしょうか。
油かすを除いてペットボトルに入れる、回収所に出す、という工程は、いつもの「固めて捨てる」以上に少々面倒だと感じられるかもしれません。
ですが、「この行動が地球を美しく保つことにつながる」と少し視点を変えてみると、楽しくアクションできるようになるのではないでしょうか。
ほんの少しの手間をかけて「回収」に出すために、キッチンに空のペットボトルを一本置いてみてはいかがでしょうか。
一人一人の行動は小さくとも、未来のための大きな一歩になるはずです。
家庭から出た廃食用油を SAF へとつなげる、日本初のプロジェクトが動き出しています。
詳しい情報や参加方法については、以下の公式サイトをご覧ください。