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テクノロジー プラント

2026.01.16

社会インフラを支える「回転機」とは?| 用途・分類・仕組みや選定のポイントをわかりやすく解説 0

社会インフラを支える「回転機」とは?| 用途・分類・仕組みや選定のポイントをわかりやすく解説

目次

    ポンプ、送風機、圧縮機、タービン、電動機(モータ)。プラント業界ではこのような回転機械を「回転機」とよく省略して呼びます。これらの機械はプラントだけでなく、車・鉄道・航空機や船舶といった身近な乗り物から、建物設備、水道・排水設備、医療設備など幅広く使われており、私たちの生活を支えるインフラに欠かせないものです。回転機が動かなくなると、今の時代の人の営みが停止してしまいます。

    サステナビリティハブでは、この分野の最前線で活躍するエンジニアへのインタビュー記事『【プラント建設の未来を支える技術者たち #03】回転機のエキスパート』を公開しています。本記事は、そのインタビュー記事をより深く、楽しく読み解くための「技術基礎編」です。

    回転機の基本構造から、動作の仕組み、代表的な種類までを図とともにわかりやすく解説します。普段目にすることの少ない「回転機」について、基礎から学んでいきましょう。

    回転機とは? 定義・役割

    回転機とは、回転する軸が、駆動する羽根車、ピストン等を介して、流体のエネルギー変換や、流体の移動をおこなう機械のことをいいます。

    普段意識することは少ないですが、私たちの身の回りには数多くの「回転機」が存在しています。

    たとえば、家庭用の扇風機や換気扇、エアコンの室外機に使われているコンプレッサも、回転機の一種です。これらの機械は、駆動機である電動モータの軸の回転運動を被駆動機羽根車やローターに伝えることで、空気や冷媒の送風・圧縮の役割を担っています。

    産業の現場では、回転機の役割重要度と難易度はさらに高くなります。プラント設備や発電所のポンプやタービンは、高温・低温、危険物性、大流量での液体やガスの輸送、圧縮、エネルギー変換といった重要なプロセスを担います。回転機が正しく動作することで、発電効率や生産性が維持され、私たちの生活を支える電力や製品が安定して供給されるのです。

    回転機の種類と分類

    産業現場で使用される回転機は、多岐にわたります。そこで、回転機を 2 つの観点で分類し、特徴や用途を整理して解説します。

    1. 駆動機と被駆動機

    1つ目は、「駆動機」と「被駆動機」の観点による分類です。
    「駆動機」とは、回転動力を発生する機械で、装置プロセス目的を果たす機械である「被駆動機」を駆動します。
    つまり、電動機や蒸気タービン等の駆動機が動力源として、ポンプや送風機である被駆動機を駆動する、といった組み合わせのパッケージで回転機は成り立っています。

    駆動機・被駆動機の分類と代表的な回転機の一覧は、下記の表をご覧ください。

    分類代表的な回転機
    駆動機電動機(モータ)
    蒸気タービン
    ガスタービン
    レシプロエンジン
    水車(ハイドリックタービン・リキッドエキスパンダ)
    風車
    ガスエキスパンダ
    非駆動機ポンプ
    送風機(ファン・ブロワ)
    圧縮機(コンプレッサ)
    発電機

    2. 装置プロセス目的別

    2 つ目は、「回転機を何のために使用するのか」という目的別の分類です。
    産業現場では、回転機は用途に応じてさまざまな形で使われています。液体や気体を移送するものから、エネルギーを発生・回収するものまで、その役割は多岐にわたります。以下に、装置プロセスの目的別に代表的な回転機を整理しました。

    液体輸送代表的な回転機主な特徴
    液体輸送ポンプ液体を移送し、装置の流量、圧力、温度を制御。
    遠心ポンプと容積式ポンプに分類される。
    送風ファン、ブロワ空気やガスを低圧縮比で送風。換気、燃焼用空気送風
    もしくは排気ガス排出、水処理曝気、その他の空気ブースト
    気体圧縮コンプレッサガスを圧送。プロセスガスチャージ、油井・ガス田への圧縮封入、
    プロセスガス循環、冷媒循環、タンクボイルオフガス排出圧送、
    空気・窒素圧縮機
    発電タービン
    水車(エキスパンダ)
    蒸気・水流・風力を利用して回転エネルギーを得て発電に利用。
    蒸気タービン、水車、LNG・冷媒ハイドリックタービン
    動力回収ガスエキスパンダ高圧プロセスガスを利用し回転エネルギーを得、圧縮機を駆動。
    ターボエキスパンダ
    動力供給(電気)モータ電気エネルギーを回転運動に変換。ポンプ・ファン・圧縮機等の
    駆動源。電動機(モータ)
    動力供給(燃焼)エンジンガスタービン、レシプロエンジン等燃焼機関駆動機
    電力供給発電機回転運動を電気エネルギーに変換する被駆動機。
    駆動機は動力回収機もしくは動力供給機

    回転機の構造と基本動作の仕組み

    本章では、電気機器である発電機を除く流体プロセス目的を果たすポンプや圧縮機といった被駆動機について、回転機を構造の違いから整理し、その仕組みを解説していきます。

    ポンプや圧縮機の構造は、「ターボ式」と「容積式」の大きく 2 つに分類できます。詳しく見てみましょう。

    ターボ式

    ターボ式は、羽根車の回転によって、ケーシング*内の液体または気体に運動エネルギーを与え、これをケーシング*内で圧力エネルギーに変換するもので仕組みです。ターボ式は、機内での運動エネルギーを与える方向の違いで、「遠心式」、「軸流式」、「斜流式」と細分化された呼び名で表現されます。

    *ケーシング:機械部品を保護し、流体やガスを制御するためのカバーや外殻のこと

    容積式

    容積式は、空間の膨張・収縮による体積変化を利用して、圧送する仕組みで、次の 2 つの形式に分類することができます。

    • 「往復動」:ピストンやダイヤフラムで流体を閉じ込めて押しのけることで圧送する
    • 「回転式」:スクリュー羽、ギア、その他の特殊形状ローターの回転によって流体を圧送する

    往復動式は、ポンプでも圧縮機でもピストン型とダイヤフラム型と大きく 2 種類に分類できます。ピストン型は単純な構造で堅牢なので、高い圧縮能力があります。

    一方、ダイヤフラム型はダイヤフラム構造を取り入れる事で流体を完全に遮蔽することができるので、大流量には向きせんが外に漏れると有害な流体などを圧送するのに役立ちます。

    回転式には、気体圧送ではスクリュー圧縮機、ルーツブロワ、ベーン圧縮機、スクロール圧縮機、液体輸送では同じくスクリューポンプ、またギアポンプ、リキッドリングポンプ、ベーンポンプなど他にも様々なタイプがあります。あまりにも多くの種類がありますので、ここでは詳細については割愛します。

    回転機を選定するポイント4つ

    回転機の用途は限りなく幅広く、様々な用途目的によって選定、発注、製作される工程も千差万別と言えます。仕様のレンジで標準化され、カタログスペックから購入者がすばやく容易に選定できるものから、購入者が必要とする仕様を高度にカスタマイズするものまで様々です。石油・天然ガス関連プラントなどでプラントの容量に応じた重要回転機を選定する場合には、必要とされる仕様にカスタムメードされた技術要素で総合的に判断することが必要となります。ここでは、後者のカスタマイズする場合の着眼点の例を紹介します。

    1.流体特性

    まず確認すべきは、回転機が扱う流体の種類と特性です。
    液体か気体か、粘度や気化性・重合性、毒性・腐食性・含有固形分の有無などによって、選定すべき機種が大きく変わります。それぞれの特性に実績のある種類を選択することが重要で幅広い知見が必要となります。

    2.流量・温度・圧力・流体組成

    次に、回転機が輸送する流体の装置が要求する流量、温度や圧力、また流体の組成などの条件を明確にします。
    この際、場合によっては装置の定格設計点における条件だけでなく、その装置につながる前後の装置で運転状態が変動することまでを加味した条件をレンジで設計しなければならない場合もあります。天然ガス・原油などの井戸元に関わる装置の場合は、井戸元の圧力が将来的に変わる事を予測しそれを設計に取り込む事もあります。運転条件の変動幅は、特に遠心式か容積式かの選択で重要な要素の一つとなります。

    3.制御方法

    装置の中に組み込まれた回転機は、その装置の負荷変動等に応じて容量(流量)の調整が必要になる事があります。
    調整は装置系に設けられるバルブなどが担う事で計画される場合もありますが、回転機の回転数制御、可動翼、スライド弁、アンローダなどを回転機自身に搭載することもあります。制御方式は、変動域の広さ、連続運転の可否、エネルギー効率や制御性の観点から最適化選定されます。

    4.効率・省エネ要求

    プラントの運転には電力や燃焼器の稼働が不可欠で、膨大なエネルギーを消費します。

    脱炭素化、環境負荷低減のニーズが高まり、プラント全体のエネルギーコスト削減が求められる中で、回転機の効率も選定における重要なポイントとなります。効率の評価は、回転機単体の効率に注目する場合だけでなく、回転機と関連する付帯設備全体を総合的に評価すべき場合もあり、注目すべきポイントを正しく判断することが重要です。

    また、運転条件も同じで、部分負荷運転が多いプロセスでは、機械の定格点効率よりも負荷変動時の総合効率を重視するケースもあります。回転機そのものの効率の良し悪しは機内の流体状態変化に関わる水力・空力・熱力効率や、軸受けのように物理的回転で生じる摩擦損失などで議論され、運転の効率については前項で紹介された制御方法などでも議論されます。

    まとめ

    今回の記事では、回転機の基本構造から種類、選定のポイント、最新技術動向について詳しく解説しました。回転機を理解し、適切に活用するための一助となれば幸いです。

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