LNGはなぜクリーンなのか〜LNGプラントの5つの工程と役割〜

LNGはなぜクリーンなのか〜LNGプラントの5つの工程と役割〜

目次

    天然ガスを-162℃で液化したLNG(Liquified Natural Gas)。現在、日本の一次エネルギーの22.4%(2019年)をLNGが占めており、輸入されたLNGは約60%が発電、約34%が都市ガス用に使われています。   

    LNGは既に50年以上前から発電や都市ガスに使われており、日本では1969年に米国アラスカから初めて輸入されました。 現在の輸入先は、ロシア、米国、オーストラリア、中東、東南アジアなどと多様化しています。

    なお2020年まで日本はLNGの世界最大の輸入国でしたが、2021年には中国の輸入量がそれを上回るようになりました。しかし、日本は世界のLNGの約20%を輸入している(2021年時点)など、中国に次ぐLNG輸入大国であることに変わりはありません。 

    さらに今後LNGは、アジアでの需要拡大も見込まれています。

    (参照:資源エネルギー庁「第2部第1章第3節 一次エネルギーの動向」) 

    天然ガスの輸送方法

    LNG輸送船_画像

    天然ガスを輸送する方法は、以下の2つがあります。  

    1. ガス田から消費地までコンプレッサーでガスを圧縮し、パイプラインを経由して輸送する 
    2. ガス田近くで液化してLNGタンカーによって消費地まで輸送する

    「1.ガス田から消費地までパイプラインでガスを輸送する」では、消費地が近くにあることが望ましく、消費地でそのまま発電や都市ガスなどに利用できます。  

    一方、ガス生産地と消費地が遠くパイプラインによる圧力輸送が困難な場合は、天然ガスを液化させることで体積が600分の1になる性質を利用し、ガスを液化させてLNG専用のタンカーで輸送します。なお「2.ガス田近くで液化して消費地まで輸送する」場合は消費地のLNGタンクに受け入れるための受入基地(LNGターミナル)や、LNGを元のガスに戻す気化設備が必要となります。 

    日本は島国であるため、消費地から日本までパイプラインを引くことが難しく、天然ガスを液化し、LNGとして国内に受け入れ利用してきました。  

    LNGプラントの工程と役割

    LNGプラント_画像LNGプラントの工程には、

    1. 天然ガス受け入れ工程(気体・液体・水の3相分離装置) 
    2. 前処理工程 (酸性ガス、水分、水銀 除去装置) 
    3. 炭化水素重質分分離工程(ベンゼン、トルエン、キシレンの除去) 
    4. 液化工程(冷媒を用いて、特殊熱交換器を通して -162Cまで液化冷却する)  
    5. LNG貯蔵および出荷工程

    の5つがあります。 

    2.前処理工程と、3.炭化水素重質成分分離工程では、環境に悪影響をおよぼす不純物の除去をおこないます。 

    そもそも井戸元から産出した原料の天然ガスの中には、温室効果ガスをもたらずCO₂や硫化水素(H2S)をはじめとする硫黄成分の他、発癌物質であり極低温で固化し閉塞を招くベンゼン、トルエン、キシレンなどの重質炭化水素成分が不純物として含まれています。  

    LNGプラントではこれらの不純物を除去し、環境におよぼす害の少ないクリーンな燃料に変える役割もあるのです。酸性ガスや水分を除去した後に、-162℃の無色透明、無臭、無毒の液体に液化していく工程に入ります。 

    一方、その液化過程で使用するコンプレッサーの動力にはガスタービンが使用されているため、液化過程でCO2を排出している現状もあります。 

    天然ガスをよりクリーンに利用するために 

    天然ガスは、他の化石燃料に比べて環境負荷が小さいクリーンなエネルギーですが、上記で紹介したLNGの生成過程やLNGのバリューチェーン全体(天然ガスの採掘から、LNGの生産、輸送、供給、消費)を考えると必ずしもクリーンとは言えない現状もあります。 

    それを受け、LNGプラントでは液化過程で使用するコンプレッサーの動力を電動化してCO2を排出しないようにしたりと、生産過程で生じるCO2を減らす取り組みもおこなわれており、またガスそのものの脱炭素化実現に向けては以下のような方法も検討されています。

    ガスの脱炭素化の手順
    ガス自体の脱炭素化  水素の直接利用
    カーボンニュートラルメタンの利用
    バイオガスの利用
    脱炭素化に向けた対策  天然ガス+ CCUS(分離・貯留したCO2の利用) 
    カーボンニュートラルLNGの利用 
    海外貢献
    DACCS(大気中のCO2を直接回収・貯留する技術)
    植林

    ガス自体の脱炭素化はもはやコストではなく、「企業の競争力の源泉」という考え方が浸透しつつあります。LNGを例に挙げても、様々な代替LNGの選択肢が考えられるようになってきました。

    上記のガスの脱炭素化手段のうち、「カーボンニュートラルLNGの利用」についてもう少し詳しく見ていきましょう。 

    カーボンニュートラルLNGの仕組み_図

    すでに日本にも輸入されているカーボンニュートラルLNGとはLNGバリューチェーン全体で排出されるCO2を、植林・森林保全等で創出されたカーボンクレジットで相殺することにより、実質的なCO2排出量はゼロとみなせるLNG」のことです。

    元々比較的環境負荷が小さいLNGですが、2050年のカーボンニュートラルに向けたガスの脱炭素化=気候変動対策)に向けて、よりクリーンに使用するための取り組みが進められています。

    まとめ

    今回は、LNGプラントの5つの工程と役割について解説してきました。 

    ご紹介した天然ガスの液化精製プロセスでは、LNGプロセス・ライセンサー独自の技術と特殊熱交換機器が採用されます。LNGプラントでは扱う物量が巨大で、納期も長く、完成に至るまでには多くの設計に関する知見はもとより、インフラ設備の整わない地域での多様性に富んだ建設工法、および成功運転経験を持ちあわせたLNGコントラクターなしには、LNGの製造は成し得ません。 

    世界のLNGプラントの約70%は、日本の日揮グループと千代田化工建設、および海外2社のコントラクター(仏、米)が他社の追従を許さずプロジェクトを請け負ってきました。

    日揮グループではLNGプラントの建設のみならず、ガスの脱炭素化に向けた様々な取り組み(CCUS等)も開始しています。ガスの脱炭素化にご興味がありましたら、是非お問い合わせください。 

    サステナビリティハブ編集部

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    サステナビリティに関する情報を、日本から世界に発信していきます。